白内障手術

白内障手術とは

白内障手術では、白内障で濁ってしまった水晶体の中身を取り除き、残した水晶体の袋（嚢といいます）の中に眼内レンズをに入れます。

手術をするかどうかの判断と手術の時期

当院では、①視力の低下やかすみで仕事や日常生活に支障あり、かつ、②医師が手術を要すると判断したとき、が手術の時期と考えています。手術の日程は、本人様と医師とで相談して決めることとなります。現在のところ、申し込んでから手術日まで、おおむね2週間程度お待ちいただいています。

白内障手術の方法

1. 黒目（角膜）のふちを2ミリメートル程、切開し、

2. 水晶体の袋(嚢)の前方を円形に切開して、水晶体の中身を吸引し、

3. 眼内レンズを挿入する

といった過程からなります。

 

当院の白内障手術の特徴

●　多焦点レンズ、乱視レンズに関しても多数の実績があります。（レンズの選択はご本人様のご意見・ご要望を聞き、医師が最適と思われるレンズをご提案します。）

●　手術はすべて院長が施行します。

●　手術は日帰り手術です。術後はプライバシーの守られた回復室にて15分ほど休憩したのち帰宅となります。

●　麻酔は点眼による表面麻酔で行い、注射による麻酔は基本的には致しません。手術時間は特別な場合を除き、10～15分程度で終わり、痛みもほとんどありません。また、緊張しやすい方に低濃度笑気ガス麻酔をご用意しています。

低濃度笑気ガス麻酔について目の手術は局所麻酔ですのでどなたでも緊張するものです。当院には低濃度笑気ガス麻酔があり、手術中の過剰な緊張を和らげることができます。術中、吸引している間は緊張がとけた状態になりますが、ガスを止めれは、数分で元に戻ります。耳鼻科疾患や肺疾患のない方であればできますので、緊張しやすいとおもわれる方はご用命ください。

眼内レンズについて

眼内レンズの度数を選択することで、手術後の裸眼（めがねを掛けていない状態）での見え方を調整することができます。眼内レンズの選択にはおおむね以下の3通りがあります。

①単焦点レンズで遠くに合わせる。

眼鏡なしで遠くは見えやすくなりますが、近くを見るのは近用眼鏡（いわゆる老眼鏡）が必要になります。

②単焦点レンズで近くに合わせる。

眼鏡なしで近くは見えやすくなりますが、遠くを見るのは眼鏡が必要になります。

③多焦点レンズを選ぶ。

多焦点レンズを入れると、眼鏡なして遠くが見えやすいだけでなく、近くもある程度は見えるようになりますが、小さな文字を見るときは近用眼鏡（いわゆる老眼鏡）が必要になります。

多焦点レンズについて

従来は眼内レンズは単焦点で、遠くにピントを合わせた場合は、近くを見るために老眼鏡がいり、また近くにピントを合わた場合は、遠くを見るために遠用眼鏡がいる状況でした。数年前から、遠くにも近くにも焦点が合う多焦点眼内レンズが出てはいましたが、術後にハローやグレアといった「かすみ」・「ぼやけ」が現れることがあり問題となっていました。その後の改良により、現在はハローやグレアがほぼ問題ないレベルの多焦点眼内レンズが開発され、当院でも導入しています。

手術は単焦点レンズで行った場合と全く同じで、最後に挿入するレンズが違うだけです。一般的に多焦点レンズは単焦点レンズと比較して高額です。多焦点レンズを用いた白内障手術は令和2年4月より選定医療となりました。手術代には保険診療が使えますが、多焦点レンズと単焦点レンズの差額は自己負担となります（下記参照）。

当院で扱っている多焦点眼内レンズ

テクニス　シナジー（ジョンソンアンドジョンソン社）

テクニスシナジーは、ジョンソンアンドジョンソンビジョン社製の最新多焦点眼内レンズで、EDOFレンズ(焦点深度拡張型レンズ：遠方から中間距離まで連続した焦点を結ぶレンズ)と2焦点の回折型レンズの構造を組み合わせたハイブリット型眼内レンズです。遠方はもちろん、近方も良好な見え方が可能な眼内レンズです。

アクリソフIQ　パンオプティクス（アルコン社）

眼内レンズのトップメーカーALCON社の最新3焦点眼内レンズです。当院で入れた方々からは、遠方、近方ともに見えると喜ばれています。ハロー・グレアも、当院での患者様からは問題ないとご評価いただいています。

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の手術費用（片眼）

片眼で、１割負担の方は14,000円程度、3割負担の方は50,000円程度の保険診療の自己負担金に加え、多焦点レンズと単焦点レンズの差額をお支払いいただくことになります。（下記税込み価格）

 

多焦点眼内レンズは選定医療に多焦点レンズを用いた白内障手術は令和2年4月より選定医療となりました。選定医療では手術代に保険診療が使え、多焦点レンズと単焦点レンズの差額のみを自己負担でお支払いいただくこととなり、保険外診療での手術に比べ、より少ない自己負担額で手術が受けれるようになりました。当院でも、選定医療を導入しています。

費用（自己負担額）について

単焦点レンズの場合、健康保険が使えて、3割負担の方で50,000円程度、１割負担の方は14,000円程度です。高額医療制度を使えば１割負担の方は一月で18,000円以上かかりませんので、両眼を同じ月にすることで、自己負担を軽減することができます。高額医療制度の自己負担額は患者様ごとに違います。詳しくは健康保険にお尋ねください。

多焦点レンズの場合は、単焦点レンズの場合に書かれた自己負担額に加え、多焦点レンズと単焦点レンズの差額をお支払いいただきます。

術後の生活について

術後の眼内への感染症防止ため、術後1週間は目をこすらない、押さない、汚れた水を目に入れないなどに留意して生活していただきます。必ず、医師やスタッフの指示に従っていただくようお願いします。

手術当日：まっすぐ帰宅し、安静にしておいてください。

保護メガネ：手術後５日程度、起きているときも、寝ているときも、装用してください。

入浴・洗髪・洗顔：術当日は入浴せず、タオルでふく程度にしてください。術翌日から、首から下のお湯かけ、シャワーはできます。術後５日目以降は、洗髪・通常の入浴ができます。また、術後1週間は目を押さないようにしてください。

通院：手術後１週間以内は週３日程度、通院していただきます。以後、術後２か月まで、２～3週間に一度、通院していただきます。

仕事：事務仕事は術後５日目以降、屋外や現場での仕事は術後1週間以降からできます。

車の運転：術後1週間はしないでください。また見えにくい時は決して運転しないようお勧めいたします。交通法規では、「正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」ことになっています。

点眼：感染や炎症の防止のため、指定された目薬を術後2ヶ月ほどさしていただきます。

眼鏡合わせ：目の見え方が安定する1ヵ月ほどかかります。眼鏡合わせが必要な方は、見え方が十分安定してから眼鏡を再作されることをお勧めします。

合併症

①　後嚢破損、チン小帯断裂
水晶体の袋（嚢）が破損したり、水晶体を支えるチン小帯が断裂することが、まれにあります。程度に応じて手術時間が延びます。

②　眼内炎
3000-5000例に1例ほどの割合で、術後、目の中に細菌感染が起こると言われています。細菌によっては数日で失明する危険があり、早期に発見し、手術により速やかに眼内の細菌および炎症起因物質の除去を行なう必要があります。目をこすったり、たたいたりはしないことが大切です。術後早期に急に目が痛くなり、同時に見えなくなってきた、となった場合には速やかに眼科を受診してください。

よくある質問

Q1.　痛くはありませんか？
A　特に痛みはありません。術中は医師の指示に従い、落ち着いて手術を受けてください。手術当日は痛みや異物感があることもありますが、１～2日程度でおさまります。
Q2.　手術はしたいのですが、とても怖いです。どうしたらよいでしょうか。
A　当院ではご希望の方に、低濃度笑気ガス麻酔をいたします。ガスを吸うだけで緊張の取れた状況で手術が可能です。ガスを止めれはすぐに元に戻ります。

Q3.　費用はどれくらいかかりますか？
A　上記、「費用（自己負担額）について」をご参照ください。民間の医療保険に入られている方は手術で給付金がおりる場合が多いようですので加入している保険会社にお問い合わせください。
Q4.　いつ手術できますか？
A　特段の問題がなければ、手術申し込みから1～2週間後には手術ができます。他の科で加療中の方は、白内障手術をしてよいかどうか、担当の先生にもご相談ください。
Q5.　視力は必ず上がるのでしょうか？
A　白内障の手術のみ行ないますので、白内障以外に視力低下を来たす他の病気があれば、それに応じて視力の回復は制限されます。白内障で視力が低下した分は手術により改善し、術前よりは明るくなりますが、視力の改善には個人差があることをご理解ください。
Q6.　涙が多いのは治りますか？目やにが多いのは治りますか？
A　涙や目ヤニ（眼脂）は白内障と直接の関連がありませんので、治らないと考えるのが正しいと言えます。術前の診察で医師にご相談ください。
Q7.　運転免許の更新が近いのですが。
A　そのままの状態で免許が更新できるのであれば、更新が終わってからが良いでしょう。白内障手術後に更新ができるかどうかは、白内障以外の目の病気の状況にもよります。医師にご相談ください。